2015年12月20日「大きな喜び」
2015年12月20日「大きな喜び」<夕礼拝>
【説 教】田代孝一スタッフ
【聖 書】ルカによる福音書2章8~20節
【説教要旨】
イエス様のご降誕の記事は、ルカによる福音書とマタイによる福音書に記されています。本日は、ルカによる福音書からとくに羊飼いたちにスポットをあててみました。イエス
様の誕生という大きな出来事の知らせを最初に受けたのは、ここに登場する羊飼いたちでした。彼らは当時の人口調査の対象にもならないほど、社会的にまったく相手にされない人々で、彼らの多くが定住の住まいもなく、生涯独身暮らしがほとんどでした。
その中でもここに登場する羊飼いたちは、牧草を求めて移動していく通常の遊牧民ではなく、「この地方で」と記されていますように、町はずれに野宿しいつでも羊を提供できるように、毎日いけにえ用としてささげられる神殿用の子羊を飼っていた羊飼いでした。いわば一生雇われ者で彼らがどんなに愛情を注いで羊を育てても、いずれはいけにえとして殺されていく生産性のない羊を飼っていた人々でした。きっと彼らの生活は、その日暮らしの夢も希望もない生活だったことでしょう。しかし、神様はこのようなどん底の生活者ともいえる羊飼いたちをお選びになり、人類史上最初に産まれたばかりのイエス様と対面する光栄をお与えになりました。コリント人への第1の手紙1章28節に「この世で身分の低い者や軽んじられている者、すなわち、無きに等しい者を、あえて選ばれたのである。それは、どんな人間でも神のみまえに誇ることがないためである。」と記されていますように、まさしく神様は無きに等しいものを選んでくださったのです。
しかし彼らは、マタイによる福音書に登場する博士たちとは違い、救い主誕生に関して何の知識もありませんでしたので、天使が現れた時、自分たちが裁かれるのではないかと思い、恐ろしさのあまり震え上がってしまいました。そのような彼らに天使は告げました、「恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。きょうダビデの町に、あなたがたのために救い主がお生まれになった。このかたこそ主なるキリストである。あなたがたは、幼な子が布にくるまって飼葉おけの中に寝かしてあるのを見るであろう。それが、あなたがたに与えられるしるしである」と。ベツレヘムに行って見た光景が、まさしくこの天使の言葉通りであったことを知った彼らの喜びはいかばかりであったことでしょう。彼らは大きな喜びに包まれて、帰途につきました。
その後の彼らの人生については何の記述もありません。しかし、イエス様とお会いした
彼らの人生は大きく変わったことでしょう。彼らはその後、主に在る大きな誇りと天的な希望をもって生き抜いていったのではないでしょうか。
クリスマスはどん底の人生、暗闇の中に希望の光が灯された時です。ヨハネによる福音書1章5節に「光は闇の中に輝いている。そして、闇はこれに勝たなかった」と記されていますように、イエス様の誕生によって灯された光は、希望の光としてどんな時も私たちを照らし続けていくのです。ここに何物にも代えがたい大きな喜びがあるのです。