2015年6月28日 「イエスの誕生」
2015年6月28日 「イエスの誕生」
【聖 書】ルカによる福音書2章1~7節
【説 教】齋藤 朗子 牧師
【説教要旨】
しばしば歴史家とあだ名されるルカは、神の人類を救うための神の御業は「彼岸」ではなくまさに人類の歴史の中で起きた(起きている)ことであり、この世の時間・歴史が神の御手の中で流れるものであることを読み手に訴えかけます。
イエス様の時代、ユダヤには二人の「この世の支配者」がいました。ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスとユダヤ王ヘロデです。アウグストゥスは「ローマの平和」をもたらした皇帝として知られ、政治・経済・文化面等での彼の功績は一定の評価を得ています。ヘロデ王は親ローマ政策をとり、40年間ユダヤを治めました。その間、ユダヤ王国は戦争もなく繁栄を見ました。しかしながら、ユダヤにはこれら「この世の二人の支配者」によって生活を圧迫され、究極の貧しさを味わう人々が存在しました。それは人口の9割を占めた農民達です。彼らはこの世に翻弄され、苦しい時間を過ごしていました。
イエスの母マリアも、この世の時間・歴史の中で生き、そこで翻弄された人でした。マリアは徴税・徴兵のためのデータ収集である住民登録のため、身重にもかかわらず旅を強いられ、ベツレヘムでは落ち着いて出産する場所を見つけられずに家畜小屋で出産せざるを得ませんでした。それは「ついてない」状況での出産でした。しかし、マリアが「ついてない」と感じていたかもしれないその時間も、神の御手の中に流れる時の一部でした。マリアが旅と出産に苦しんでいたその時、神の時が満ちて、イエス様はお生まれになったのです。住民登録という出来事に翻弄されたマリアですが、ベツレヘムでの出産を通して神の預言の成就に用いられたのでした(ミカ書5:1)。このようしてイスラエルの民が待望した救い主はお生まれになりました。
私たちは、個人の人生での苦悩や政治や世界情勢に翻弄される時があるとしても、全ては神の御手の中にあり、神は今もなお救いのために働かれていること、真の支配者なる主イエス・キリストという救い・力・希望があたえられていることを忘れずに過ごしてまいりましょう。