2016年5月1日 「崖っぷち」
2016年5月1日 「崖っぷち」
【聖 書】ルカによる福音書9章37節~45節
【説 教】齋藤 篤牧師
【説教要旨】
主イエスが祈りからお帰りになると、一人の男の叫びを聞きました。この男の一人息子は悪霊に取りつかれていました。そのために痛み苦しむ姿を傍らで見ていた父親である男が、悪霊の追い出しと息子の癒しをイエスに求めたのです。
この父親は決してこの状況を黙って眺めていただけではありませんでした。父親は、あなたのお弟子ですら悪霊を追い出すことができませんでしたと、イエスに訴えているのです。
イエスは、12人の弟子たちを宣教の現場へ遣わす時に、「悪霊を追い出す力」をそれぞれに与えました。その力をもってすれば、息子の悪霊は追い出せたはずなのです。しかし結果としては追い出せなかった。なぜなのでしょう。
そもそも、弟子たちに悪霊を追い出したり病をいやす力が与えられた時、その源は何だったのでしょうか。それは「権能」を授けた神であり、それを身に帯びた主イエスに他なりませんでした。弟子たちが力与えられたのは、弟子たち自身の内から起きる能力ではなく、主イエスの権威と力が与えられたからこそだったのです。弟子たちに必要なのは、そのことを極みまで信じることができるか、という一点に尽きるのです。
おそらく、弟子たちも一生懸命癒しの業をしたことでしょう。しかし彼らは極みに至る前に限界を感じてしまいました。「崖っぷち」に立たされているようで、実は立たされていなかったのです。もう後はないと本当に思う時にこそ、主が私たちの目前に迫っておられるのです。この近さに私たちは最後のひと絞りで踏ん張るならば、主は必ず助けの御手を与えてくださるのです。決してあきらめてはなりません。そこに主は必ずおられ、私たちを見捨てることは絶対にないのですから。